大映俳優列伝(43)三夏伸(三夏紳)

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「大怪獣決闘ガメラ対バルゴン」(1966年)では藤山浩二がバルゴンに食べられてしまうシーンがあったが、次の「大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス」(67年)では三夏伸がギャオスの餌食になっている。
1941年(昭和16年)生まれ。日大芸術学部卒。在学中の61年に第15期ニューフェイスとして大映東京撮影所に入所している。同期には京都のフレッシュフェイスから転じた石黒三郎、澄川仁恵(葵三津子)、歌手の広瀬みさらがいた。
一部のプロフィールでは何故か66年の「陸軍中野学校」がデビュー作になっていることがあるが、実際に三夏伸の名がクレジットされ始めたのは62年の「雪の降る街に」あたりからである。三夏と言う姓は珍しいが、本名なのか芸名なのかプロフィールには書いていない。だが俳優でもある息子の姓が山田(哲也)なので、こちらが本名なのだろう。
最初の数年間は「剣」(64年)の剣道部員、「あゝ零戦」(65年)の飛行整備員、「犬シリーズ」のチンピラなど大半が端役であった。漸く貰った初めての大役が「陸軍中野学校」なのである。
シリーズ化された2作目以降と違って、この1作目は主演の市川雷蔵だけでなく中野学校生全体の青春群像劇になっている。この中で三夏はバーのホステスに入れあげて軍刀を盗み出して売却しようとした挙句、その責任を追及されて自殺に追い込まれる中野学校生・手塚を演じたのである。
その後は「女賭博師シリーズ」「与太郎戦記シリーズ」などに出演。「ガメラシリーズ」の常連でもあり5本出演しているが、印象に残っているのはやはり冒頭で記したように「ガメラ対ギャオス」の新聞カメラマン役である。英一少年を置き去りにして自分ひとり助かろうとしたために却ってギャオスの餌食になってしまい、昭和のちびっ子たちに「因果応報」と言うことを身をもって教えている。
大映倒産後はテレビで悪役が主になり、77年の「快傑ズバット」第8話(東京12チャンネル)では座頭市を模した地獄市なる仕込み杖の用心棒を演じている。ちなみにどの作品か不明だが「座頭市」で勝新太郎の吹き替えをしたこともあると言う。
90年代以降の出演作では下の芸名を「伸」から「紳」に変えている。また大映テレビ室出身の監督の松生秀二と「三松座」と言う劇団を結成し公演や俳優養成も行っている。
尤も大映後のことは今回調べるまで知らなかったし、率直に言って世間一般的な知名度はあまり高くないだろう。
そんな三夏が突如マスコミに登場したのは2007年、「おふくろさん騒動」の時である。歌手の森進一が「おふくろさん」の歌詞を無断で改変したことに激怒した作詞家の川内康範が森に「歌唱禁止」を喰らわせた、例の騒動だ。そのさ中、67年に川内が作詞し勝新太郎が歌った「座頭市」(作曲曽根幸明)のリメイク・バージョンを三夏が唄うことになったのである。
レコーディングに立ち会った川内は三夏の手を握りながら「〝座頭市〟を歌える歌手はいないと思っていたが、やっと現れた」と感無量の様子で、"森との違い"を強調してみせた。かくして「新座頭市」が三夏の歌唱で発売され、CDジャケットには晩年の勝新そっくりの風貌で写っている。
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