大映俳優列伝(47)伊達正

ukikusa0513.jpg
大映には「伊達」姓の俳優が二人いた。一人は時代劇の悪役でお馴染みだった京都撮影所の伊達三郎。もう一人が東京撮影所の伊達正である。尤も三郎ほど知名度がなかったせいか『日本映画俳優全集』には載っていない。ちなみに2人をミックスしたような名の伊達正三郎と言う新東宝出身の俳優もいたが、大映の両伊達とは無関係である。
伊達三郎と伊達正三郎は芸名だったが、伊達正も本名は大谷卓三と言うようである。デビューの年月は不明だが大都映画の「1936年度撮影所員名鑑」に名前が載っているので、それ以前には入社していたものと思われる。ちなみに大都映画は殆どのフィルムが焼失し現存していない。日本映画情報システムのデータベースでは36年(昭和11年)1月の「潮に捨てる青春」が最古の出演作だが、具体的な役柄は不明ある。
39年、「怪電波の戦慄」に出演。これは日本初の商業SF映画と言われる「怪電波殺人光線」(36年)のトーキーによるリメイク版で、二部作の後篇のみが現存する。謎の人間タンク(ロボット)を巡り敵味方入り乱れた争奪戦が展開され、藤田まことの父・藤間林太郎が人間タンクを作った博士役で、伊達正は敵の手下のせむし男を演じている。
42年、大都が新興キネマ、日活と合併して大映が誕生すると大映東京撮影所所属となり、以後倒産まで在籍していた。出演作の大半が端役だが、目を引くのは溝口健二、小津安二郎、黒澤明と言う三大巨匠の監督作品に出演していることである。晩年に大映専属だった溝口はともかく、黒澤は東宝、小津は松竹がホームグラウンドだから出演機会は限られている。 大映ではほかに京マチ子、中村鴈治郎、浦辺粂子、宮島健一ぐらいであろう。
伊達正が出演した黒澤作品は、黒澤が大映で撮った2本のうちの1本「静かなる決闘」(49年)である。主人公の医師・三船敏郎の病院へ盲腸の急患で担ぎ込まれた少年の父親役でワンシーンのみ出演している。
溝口作品は「楊貴妃」(55年)に出演。見直していないのであやふやだが、たぶん楊貴妃の京マチ子と玄宗の森雅之がお忍びで町に出たシーンでの町民役だったと思う。
そして小津が大映で撮った唯一の作品「浮草」(59年)である。中村鴈治郎の座長が率いる旅回りの芝居一座で、座長とは一番古い馴染みの老優・扇升を演じている。台詞は少ないが存在感のある役柄で代表作と言っていいかもしれない。
ほかに目立つ役としては「陸軍中野学校」(66年)で金庫破りの名人、「大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス」(67年)で村の老人、「蛇娘と白髪魔」(69年)で孤児院の小使などがある。
71年12月、大映倒産間際にテレビ室制作のTV「なんたって18歳!」10話(日本テレビ)に出演したのを最後に活動記録はない。おそらく倒産と共に引退したのだろう。

大映映画の世界
スポンサーサイト

にほんブログ村

関連タグ: 大映

テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
最新コメント
管理人のサイト
土曜日の美女たち
管理者用
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR