大映俳優列伝(60)九段吾郎

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市川雷蔵主演の「陸軍中野学校シリーズ」(1966~68年、全5作)は戦時下を舞台に雷蔵扮する陸軍中野学校出身の諜報部員が活躍するスパイ・アクション映画である。だが増村保造が監督した1作目ではむしろ、中野学校生たちの青春群像劇として描かれていた。そのメンバーとして、既にこの列伝で取り上げた仲村隆や三夏紳、森矢雄二のほかに、九段吾郎、井上大吾、喜多大八、後藤武彦、宗近一たちが出演している。彼らは同時期の「あゝシリーズ」や「ガメラシリーズ」にも出演しているが、その中でいつも頭一つ大きい巨体で目立っていたのが九段吾郎である。
例によってプロフィールは不明だが、後述するように本名は「ヤマネ・テルオ」のようである。更に元プロ野球選手だったと言う未確認の情報もある。だとすると「大魔神」の橋本力と同じケースになるが、調べてみると57年(昭和32年)から59年までの3年間、西鉄ライオンズに在籍した「山根照雄」なる投手がいた。尤も九段吾郎と同一人物かどうかわからない。ちなみに山根照雄の写真は下記サイトに載っている。九段吾郎と似ているような気もするが、どうだろうか。
http://www.nishitetsu.co.jp/museum/library/05/168.html
なお、60年の日活映画「拳銃無頼帖 不敵に笑う男」などに端役で出演した山根照雄と言う俳優がいたようである。これが西鉄の山根照雄かつ九段吾郎であるとすればプロ野球引退後に日活を経て大映入りしたことになる。映像を比べてみればはっきりするかもしれないが、未見なので何とも言えない。
ともあれ、大映の出演クレジットに九段吾郎の名前が現れるのは63年が最初である。その頃デビューしたニューフェイスには倉石功がいる。倉石によれば、ある日突然、頼んでもいないのに九段が「お前のボディーガードになる!」と宣言して、付き人のように面倒を見てくれたと言う。けんかが強く、新宿ではかなり顔が利いていたようだ。年齢は倉石より5歳先輩だったと言うから、1939年前後の生まれだろう。
以後倒産まで在籍しているが、出演作は殆ど端役であり、その大半がアクション映画のやくざ役や戦争映画の兵隊の役である点は橋本力と同じである。ただ違うのは、九段には「大魔神」がなかったことである。
倒産間際の71年になって漸く2本の映画で大きな役に就いている。ひとつは「男一匹ガキ大将」(勝プロ製作)で、酒井修扮する主人公・戸川万吉と敵対する隣の高校の番長・松川章太郎役である。もうひとつはガメラシリーズの最終作「ガメラ対深海怪獣ジグラ」の自衛隊司令官役である。
勝新太郎に可愛がられ、倒産後は橋本力と同様に勝プロに在籍した。橋本が「ドラゴン怒りの鉄拳」に派遣されたのに対して、九段は元祖"女ドラゴン"ことアンジェラ・マオが主演した香港空手映画「女活殺拳」(72年)にヤマネ・テルオ名義で出演している(どう言う手違いなのか、漢字で「九段吾郎」、英語では「YAMANE TERUO」とクレジットされている)
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役柄は敵役の日本人道場主で、最後はアンジェラと対決して倒され、大の字になっている九段の姿をバックにエンドマークが被さると言う按配である。ほかにも「燃えよドラゴン」など何本かの香港映画に出演していたようだ。
日本では勝新主演の「新座頭市物語 笠間の血祭り」(73年、勝プロ)や「海軍横須賀刑務所」(同、東映)などに出演していた。74年の「御用牙 鬼の半蔵やわ肌小判」(勝プロ)が最後の出演記録になっている。

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