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雅羅倶多館

1960~80年代のテレビドラマや映画を中心にあらすじや感想を書いています。

殺人拳・2

1973年/東映/ 小沢茂弘監督
出演/千葉真一、市地洋子、島直樹、石橋雅史、田中浩、山城新伍、クロード・ギャニオン、鈴木正文 ほか
物語。龍虎殿主の太田黒(田中浩)はアジア青少年武術センター建設の名目で金を集め、その裏でマフィアと結託していた。太田黒の怪しい動きにを光らせていた正武館館長の政岡(鈴木正文)は、弟子の山上巡査部長(島直樹)を通じて大田黒の悪事の証拠掴む。剣琢磨(千葉真一)に太田黒から政岡抹殺の依頼が舞い込む…殺人拳シリーズの2作目。

これは酷い。シリーズ物は1作目より2作目は出来が落ちるのが常ですが、それにしてもここまで駄作と言うのも珍しい。
まず1作目であれほど狂っていた千葉ちゃんのキャラクターがかなりトーンダウンし、鬼畜非道な振る舞いは抑え目。前回のように金玉引き千切ったりするようなエグイ殺し技はありませんし、画像にあるように折角飛び出した目ん玉もピンポン玉じゃただのお笑いです。
しかも今回は依頼された殺しのターゲットが唯一の理解者だからと言う理由で断るなど、ずいぶん人間的になりました。助手に女の子なんか使ってるのもズッコケますね。
出演者も華がなく、前作にも出ていた石橋雅史除くと言っちゃ悪いが雑魚ばかり。悪の親玉役が「わんぱくでもいい@丸大ハム」の田中浩と貧相なヒゲ面の外国人(カナダの映画監督だそうな)では凄みに欠けるし、色っぽい女優さんも出ていません。
政岡役の鈴木正文は俳優ではなくプロの空手家で、風采はずんぐりむっくりの冴えないおっさん。この人も前作にも出ていましたが、前作は単に千葉ちゃん相手の試合シーンが中心だったので、求められたのは武道家としての役割でした。しかし今回は物語の中心に関わるため俳優として演技する部分が大きく、ド素人丸出しの台詞棒読みシーンが延々続きます。だったら何もプロの俳優使えばいいわけで、迫力を出すために本物の武道家を使うのはこの種の作品に良くあることですが、撮っているのはドキュメンタリーじゃなくフィクションだと言うことわきまえないと娯楽作品として致命的につまらなくなってしまいます。


関連タグ: 千葉真一 東映

テーマ:邦画 - ジャンル:映画

銀座旋風児

1959年/日活/野村博志監督
出演/小林旭、浅丘ルリ子、青山恭二、稲垣美穂子、白木マリ、南風夕子、西村晃、芦田伸介、宍戸錠 ほか
物語。二階堂卓也(小林旭)は銀座で事務所を営む装飾デザイナー。王徳宝(芦田伸介)と言う謎の中国人が大量のダイヤを売りさばいてキャバレー建設資金にしているのを疑問に思い、香港に発った王の後を追う。そこで王を拳銃で狙った村越明子(浅丘ルリ子)と出会った卓也は、王が堀田という日本人で、戦時中国民から献納されたダイヤを奪ったことを知る。明子の父はその罪を擦り付けられ銃殺されてしまったのだ。明子を連れて帰国した卓也は、王一味に対する挑戦を開始する・・・。

タイトルは旋風児と書いて「マイトガイ」と読みます。
これは今見るとかなり恥しいですぞ。アキラ扮する主人公は常に蝶ネクタイ姿で若いのにパイプを離さないキザな男。「銀座旋風児」(こちらは何故か「せんぷうじ」)または「銀座退屈男」の異名をとり、街を歩けば女の子がキャーキャー言いながら集まってくるし、外国から日本に帰ればこれまた空港に女の子がわんさか押し寄せるモテモテ男。いかに二枚目とは言え民間人が何故そんなスター並に人気があるのかよくわかりませんが、まあ、「アキラだから」としか言いようがありませんね。
しかし本人は女に興味がなく、装飾デザイナーのくせに何故か探偵の真似事に熱中し、誰から頼まれもしない事件を勝手にほじくり出して騒動を広げて行きます。今も昔も「退屈男」のやることはお節介と相場が決まっているんでしょうか。
途中で付け髭、カツラで多羅尾伴内張りの安っぽい変装したりするんですが、これが全く何の意味もない。
最後は追い詰められたアキラが一旦はピンチに陥るお決まりのパターンがあった後で、敵のキャバレーに乗り込んでドンパチやっているところへ遅ればせに警察がやって来て一件落着。
「渡り鳥シリーズ」の都会版と言う狙いなんだそうですけど、ちょっとドン臭いところのあるアキラに洗練された都会の探偵役はあんまり合ってませんね。ルリ子、ジョーと言った共演者も「渡り鳥シリーズ」と同じ面子ですが、ルリ子は事件関係者の1人に過ぎず、ジョーもアキラの下で働いているただの情報屋なので印象が薄いです。サスペンスアクションに必要な演出のテンポに欠けるのも凡作の度合いを高めています。


関連タグ: 日活

テーマ:邦画 - ジャンル:映画

ゴルゴ13 九竜の首

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1977年/東映・嘉倫電影製作/東映配給/野田幸男監督
出演/千葉真一、嘉倫、志穂美悦子、新藤恵美、孫泳恩、ジェリー伊藤、鶴田浩二 ほか
物語。マイアミの麻薬シンジケートのボスは、ゴルゴ13(千葉真一)に組織を裏切った香港支部長の周電峰の暗殺を依頼。しかし香港に潜入したゴルゴ13が狙撃する寸前に周は何者かに射殺されてしまう。周を暗殺したのは香港の麻薬シンジケートを牛耳る真の黒幕、ポラーニア領事のポランスキー(ジェリー伊藤)だった。しかし香港警察のスミニー刑事(嘉倫)はゴルゴ13を周殺しの犯人として追う。一方ポランスキーもゴルゴ13を抹殺しようとする・・・。

人気劇画の実写映画化。高倉健版(1973年)は見たことありましたが、これは知りませんでした。しかしもともとゴルゴの容姿のモデルだった健さんは地で演じられましたが、千葉ちゃんは全くイメージが違うのではないか・・・と思ったら、極端にデフォルメされたメイクと剃り込みを入れたパンチパーマで登場!どう見たって、まるでコントです。
尤も、モデルだったからと言って健さんのゴルゴにリアリティがあったわけでもないし、だったらいっそ開き直って、実写であろうと徹底的にマンガチックな世界にこだわってみるのもアリかもしれません。ただしそれが作品の成功を保証するものではありませんが。
物語の舞台は香港、しかもスミニー刑事役の嘉倫が主宰する香港のプロダクションとの共同製作のせいか、お話はゴルゴとスミニーがダブル主人公のような展開で進み、必ずしもゴルゴの登場シーンは多くありません。
千葉ちゃん以外の日本人俳優も、スミニーの部下役の志穂美悦子は序盤で敵に捕まってすぐ死んでしまうし、スミニーの妹役の新藤恵美に至っては東京に出張して来たスミニーを京都に案内するためだけの役柄で物語の本筋とは全く絡みません。更にゴルゴの昔馴染みの医者役の鶴田浩二も2シーン(しかも同じセットで衣装変えただけ)で意味のない友情出演。千葉ちゃんのゴルゴメイクの濃さに反比例するかのように内容はやや薄いです。
その千葉ちゃんも折角メイクにこだわったわりにキャラクターはあまりゴルゴらしくなく、何故かカラテの達人なのはいいとしても、簡単に殴られたり背後に敵が立っていても気づかなかったり、少女に微笑んでみせたりと、ずいぶん隙の多いゴルゴです。
最後は断崖絶壁にロープ一本でぶら下がってヘリコプターのポランスキーを狙撃するアクションシーンで千葉ちゃんの本領発揮。
まあゴルゴだと思わずあくまで70年代東映の、千葉ちゃんの映画だと思って見る分には楽します。
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関連タグ: 千葉真一 東映

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激突!殺人拳

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1973年/東映/ 小沢茂弘監督
出演/千葉真一、中島ゆたか、風間千代子、志穂美悦子、山田吾一、川合伸旺、石橋雅史、山本麟一、遠藤太津朗、天津敏、オスマン・ユセフ、渡辺文雄、鈴木正文 ほか
物語。空手の達人・剣琢磨(千葉真一)は殺人や誘拐を請け負うプロフェッショナル。暴力団の牟田口(渡辺文雄)と香港マフィアの五竜会から日本に留学中のベルネラの石油王の令嬢サライ(中島ゆたか)の誘拐を依頼されるが、自分を信頼しない相手の態度に断る。剣は逆にサライの護衛に自分を売り込む。それを知った五竜会は殺し屋を日本へ送り込む・・・。

これは凄い。予備知識なく見てぶっ飛びました。何が凄いって、主人公である千葉ちゃんのキャラクターが完全に狂ってる。
まず冒頭、死刑囚志堅原(石橋雅史)の弟(千葉治郎)と妹(志穂美悦子)の依頼で兄を脱獄させた剣だが、金が払えないと分かるや弟を殺し妹を売春組織に売り飛ばす鬼畜振り。演じる相手が実弟の千葉治郎と愛弟子の志穂美悦子だけに、尚更千葉ちゃんの狂気が極立ちます。
石油の利権争いに巻き込まれて、と言うより自ら首を突っ込んで行った剣は香港マフィアの繰り出す殺し屋どもと死闘を繰り広げますが、これが半端なくエグい。目ん玉潰すわ、脳天カチわるわ、金玉引き千切るわ、やりたい放題。タイトルに違わず正に殺人拳のオンパレード。クハァァァァ~~ッ!っと息を吐く妙な空手の気合いだけが笑えます。関根勤が千葉ちゃんのモノマネする時の元ネタってこれだったのね。
剣が唯一人間らしい感情を見せるのは怪しげな日本語を使う相棒の中国人(山田吾一)が死んだときだけ。尤も顔をなでるのかと思ったら突然鼻の穴に指を突っ込むので、全く何考えてんだかわかりません。
主人公がこんなだからストーリーもハチャメチャで、誰が悪人だかよく分らない状況のまま最後は復讐に燃える志堅原と暴風雨の中で決闘。激闘の末、相手の喉ちんこ抉り取って立ち上がった剣がひっくり返りそうになるカットで唐突にエンドマーク。
狂気、凶暴、野蛮。折からの香港空手映画ブームに便乗した作品ですが、本家にはないダークでハードなカラーで成功を収めました。主人公があくどいのにそれほど不快な気はしないのは、根は明るい持ち味の千葉ちゃんだからでしょう。
対する敵役にも石橋雅史、山本麟一、遠藤太津朗、天津敏、渡辺文雄など癖のある俳優が勢揃い。特に宿敵を演じた石橋雅史は当時無名でしたが空手ができると言うことで抜擢されたそうで、てっきり元から東映の人かと思ってたら実は新劇出身と知って驚き。
当時18歳の志穂美悦っちゃんはまだ新人で、テレビじゃビジンダーやってた頃だと思いますが、太ももとパンツ露わに輪姦される汚れ役。逆に中島ゆたかが清楚なか弱いお嬢様役ってのも後年悪女役やってた頃しか知らないので新鮮な感じ。


関連タグ: 千葉真一 東映

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女番長ブルース 牝蜂の逆襲

1971年/東映/鈴木則文監督
出演/池玲子、天知茂、賀川雪絵、杉本美樹、一ノ瀬レナ、渡辺やよい、弓恵子、安部徹、山城新伍、ほか
物語。玲子(池玲子)は関西のズベ公グループ「アテネ団」の団長。マユミ(杉本美樹)サセコ(一ノ瀬レナ)らを率い非行の限りを尽くしていた。その玲子に愚連隊・北神会の次郎(流健次郎)と暴走族の英二(一ノ瀬謙)は惚れている。次郎はいずれ北神会が秋本組の幹部として吸収される日を夢見ていた。その頃アテネ団に前のボスだったジュン(賀川雪絵)が少年院から戻ってくる。一方秋本組では、組のためム所に入っていた土居(天知茂)が5年振りに戻ってくる…

「女番長(スケバン)」シリーズの第1作。1作目からいきなり「逆襲」ってのもよくわからんタイトルですが、同シリーズには単に「女番長」と言うタイトルの作品もあり、そっちは何故か4作目です。
話の筋は結構複雑で、玲子に対する次郎と英二の三角関係、その次郎に新入りのユウコ(渡辺やよい)が惚れ玲子との三角関係、更に前のボス・ジュンと玲子の対立関係、次郎を利用する秋本組との関係などが錯綜し、その一方で秋本組内部で昔気質の土居と組長(安部徹)の緊張関係や、土居と別れた妻(弓恵子)の微妙な関係etc… 人間模様が複雑に入り組みながら平行して進行し、加えて世相を反映してか翌年に返還を控えた沖縄問題などもちらりと絡めています。
が、表面的にはそんなことより所詮は池玲子を筆頭にズベ公女優たちが繰り出す脱ぎっぷりが見所のエロ&バイオレンス映画なわけですが、個人的にはそれも正直言ってどうでもよく、お目当ては専ら天知茂先生。
子供の頃、天知さんって見た目どおりのニヒルで気難しい人だと思っていたので、なんで娯楽作品にばかり出ているのかよくわからなかったし、晩年「AカップCカップ」などと言うB級コメディに出た時はセンセイ頭がおかしくなったのかと半ば本気で心配になりました。実は小難しいゲージュツより大衆を喜ばせる作品を好む人だったと知ったのは亡くなってずっと経ってからです。
この映画も一見、天知先生が出ている必然性が全くないどころか本筋とは関係ないサイドストーリーに終始。実利に走る組のやり方とは相容れない昔気質な男、一度は別れた妻と子供のためにカタギに戻ろうとするも、最後は組に裏切られ… と言う本来なら鶴田浩二が似合いそうな役柄を演じ独自の世界を構築しています。尤も、こんな映画にまさか鶴さんが出るわけないので、そこにはやはり天知先生が出る必然性があると言うことなのでしょう。それにしても天知先生がズベ公とどう絡むのか見る前は不安な思いだったのですが、結局最後まで主人公である池玲子とは殆ど絡まなかったことに、ほっとしたような、がっかりしたような。。


関連タグ: 天知茂 東映

テーマ:邦画 - ジャンル:映画

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